🥣カレー風味野菜スープ

このレシピでは、複雑なスパイスを一から配合する必要はありません。
カレー粉＝コモミックスとガラムマサラ、この2種類のスパイスだけで、驚くほど深みのある味わいと香りを引き出すことができます。
まず、オリーブオイルでにんにくと玉ねぎをじっくり炒めます。ここで焦らず時間をかけて玉ねぎをしんなりと甘くなるまで炒めることで、スープのベースとなる「旨み」と「コク」が生まれます。炒め始めの香ばしい香りが立ちのぼる瞬間が、料理のスイッチが入るサイン。
次に、にんじん・じゃがいも・キャベツを加え、全体に油をなじませるように炒めます。油と熱を通すことで野菜の甘みが引き出され、煮込みの際にスープへと自然に溶け出します。この“炒めてから煮る”というプロセスが、味の深さを決定づける大切なステップです。
続いて、コモミックス（カレー粉）を加えて軽く炒めます。ここで火加減は中火よりやや弱め。スパイスの香りを立たせるためには、焦がさずにしっかり油となじませることが重要です。スパイスが香り立ったら水とコンソメを加え、弱火でコトコトと煮込みます。

野菜が柔らかくなり、スープ全体がまとまってきたら、仕上げにガラムマサラをひとふり。ガラムマサラは仕上げに加えることで、華やかで立体的な香りが広がり、味わいのバランスがぐっと引き締まります。さらにレモン汁を少量加えれば、スパイスの奥行きに軽やかな酸味が加わり、最後まで飽きずに楽しめるスープに。
お好みで仕上げにオリーブオイルをひとたらし、刻んだパセリやクミンシードを散らせば、香りと彩りのアクセントに。パンやナン、雑穀ごはんとも相性抜群で、翌日はショートパスタを加えて「スパイスミネストローネ風」にリメイクするのもおすすめです。
体の芯からじんわり温まり、スパイスの香りで気分まで満たされる。
「カレー風味野菜スープ」は、忙しい毎日でも手軽に本格的な味を楽しめる、秋冬の常備スープです。

材料（4人前）
●玉ねぎ：1個（薄切り）
●にんじん：1本（いちょう切り）
●じゃがいも：2個（一口大）
●キャベツ：1/4玉（ざく切り）
●にんにく：1片（みじん切り）
●オリーブオイル：大さじ1
●水：800ml
●コンソメ：小さじ2（または顆粒ブイヨン）
●コモミックス（カレー粉）：小さじ2
●ガラムマサラ：小さじ1/2〜1
●塩：少々
●仕上げ用レモン汁または黒こしょう：少々
スパイスはコモミックスとガラムマサラの2種類のみ。
それでも香りが十分に広がるのは、コモミックスがターメリック・クミン・コリアンダーなど複数のスパイスをバランスよく含んでいるためです。
ガラムマサラは「香りの仕上げ役」。最後に加えることで、軽やかで奥行きのあるスパイス香が立ちます。

この「カレー風味野菜スープ」は、素材とスパイスの香りを丁寧に重ねていくことで、シンプルながら深い味わいを生み出します。手順はとてもシンプルですが、火加減やタイミングひとつで香りとコクの出方が大きく変わる、そんな“スパイス料理の基本”が詰まったレシピです。
① 香りを立てる
まず、鍋にオリーブオイルとみじん切りにしたにんにくを入れ、弱火でじっくりと温めます。にんにくが焦げないように注意しながら、油の中に香りを移すように加熱するのがコツ。ふわっと立ちのぼる香ばしい香りが立ったら、薄切りにした玉ねぎを加えます。
ここで焦らず、じっくりと炒めるのが重要。玉ねぎが透明から淡い飴色になるまで炒めることで、自然な甘みとコクがスープ全体のベースを作ります。香ばしさと甘さの両立が、このスープの「深み」を生む第一の鍵です。

② 野菜を炒め合わせる
玉ねぎがしんなりとしたら、いちょう切りにしたにんじん、一口大に切ったじゃがいも、ざく切りのキャベツを加え、中火で炒め合わせます。全体に油がなじむようにしっかりと混ぜながら炒めることで、野菜の表面にうま味の膜ができ、煮込んだときに味がぼやけません。
この段階で、カレー粉＝コモミックスを加えます。炒めることでスパイスの香りが油に移り、スープ全体に豊かな香りが広がる土台ができます。焦げ付きやすいので、火加減は中火よりやや弱めが理想。香りがふわっと立ち上がったら、すぐに次の工程へ進みましょう。
③ 煮込む
鍋に水を加え、コンソメを溶かしてから強火で一度沸騰させます。アクが出てきたら丁寧に取り除き、スープを澄んだ状態に保つのがポイント。
沸騰したら火を弱め、15〜20分ほどコトコトと煮込みます。じゃがいもがホロッと崩れ、にんじんが柔らかくなった頃が食べ頃。途中で水分が減りすぎた場合は、適量の湯または野菜だし（ベジブロス）を加えて調整してください。
時間をかけて煮込むことで、野菜の甘みとスパイスの香りがゆっくりと溶け合い、体にしみ込むような優しい味に変わります。

④ 仕上げる
火を止める直前に、ガラムマサラを加えて香りを仕上げます。ガラムマサラは加熱しすぎると香りが飛ぶため、余熱でやさしく香りを立てるのがコツです。塩で味を整え、器に盛り付けたら完成。
仕上げにレモン汁をひと絞りすることで、スパイスの奥行きに軽やかな酸味が加わり、全体の印象がぐっと引き締まります。黒こしょうをひと振りすれば、香りと辛味に締まりが生まれ、よりスパイシーに。

●コモミックスは炒める段階で香りを立て、ガラムマサラは最後に加えて香りを残す。
これにより「スパイスの立ち上がり」と「余韻の香り」がバランスよく調和します。
●ベジブロス（野菜だし）を使用すると、野菜の甘みと旨みがより濃くまとまる。
肉や魚を使わなくても、十分に深みのあるスープに仕上がります。
●秋冬にはおろし生姜を加えるのもおすすめ。
スパイスと生姜の温め効果が重なり、体の芯からポカポカに。風邪予防や冷え性対策にも最適です。
丁寧に作ると、香り・甘み・旨みが三層に広がる「カレー風味野菜スープ」。
特別な技術は必要なく、火加減と香りのタイミングを意識するだけで、まるでレストランのような仕上がりになります。

「カレー風味野菜スープ」は、ただの“温まるスープ”にとどまりません。
スパイスがもたらす香りの層、野菜が溶け合う優しい甘み、そしてどんな時間帯にも寄り添う柔軟さが、この一品の魅力です。

一日の始まりに、スパイスの香りが目を覚まさせてくれるような、穏やかな刺激を。
焼きたてのトーストやバゲットを添えれば、それだけでカフェのモーニングセットのような一皿になります。
オリーブオイルをひと筋たらし、粗びき黒こしょうを挽けば、香りがふわりと立ち上がり、食欲をゆるやかに呼び覚ましてくれます。
寒い朝、湯気の向こうに感じるガラムマサラの余韻が、体の芯まで温めてくれるでしょう。

ランチタイムには、少しボリュームを加えて。
残ったスープにご飯を入れて煮込めば、手軽な「カレースープリゾット」に。
粉チーズを少量加えれば、コクと塩味がバランスよく溶け合い、満足感のある軽食になります。
また、茹でたショートパスタを加えると、カフェ風の“スープパスタ”にも変身。
野菜の旨みとスパイスの香りがやさしく重なり、午後のエネルギー補給にもぴったりです。

夜には、より滋味深く。
疲れた体に染み渡るような温かさを求めるなら、スープにミックスビーンズやレンズ豆を加えるのがおすすめです。
豆のやさしい甘みとスパイスの香りが一体となり、心をほぐしてくれるような味わいに。
冷蔵庫で3日ほど保存でき、翌日には野菜の甘みとスパイスが馴染んで、より深みのある味に変化します。
再加熱する際には、少し水を足して温めると、作りたてのようなフレッシュさが戻ります。

カレー風味野菜スープは、ベースがシンプルだからこそ、自由自在に広がります。
●🥥 ココナッツミルクを加えて南インド風に：まろやかなコクとほのかな甘みが加わり、優しいエキゾチックさが生まれます。
●🍅 トマト缶を加えて酸味のある欧風スープに：カレー粉の香りとトマトの酸味が調和し、イタリアンにも通じる味わいに。
●🌿 クミンシードを軽く炒めて香ばしさをプラス：最後にテンパリングして香りを立てると、ぐっとプロ仕様の香味に変化します。
季節によって、加える野菜を変えるのもおすすめです。
春は新じゃがや春キャベツ、夏はズッキーニやパプリカ、秋冬は根菜や白菜。
ひとつのスープで、四季の香りを旅するような楽しみ方ができます。
「コモミックス×ガラムマサラ」というシンプルな組み合わせから、
どんな方向にも広がっていく、そんな“余白のあるスープ”。
それが「カレー風味野菜スープ」の醍醐味です。

外で味わうスープもいいけれど、家でじっくり煮込んだスパイススープには、
どこか「ぬくもり」と「やさしさ」が宿ります。
この「カレー風味野菜スープ」は、玉ねぎやにんじん、じゃがいも、キャベツなど、
日常的な野菜を使いながらも、ひとさじのスパイスでぐっと表情が変わる一品です。
カレー粉＝コモミックスがベースとなり、そこにガラムマサラを重ねることで、
香りの層が広がり、まるで“家庭のキッチンで作るスパイス料理の原点”のような深みを生み出します。

スパイスの香りには、単に「風味を足す」以上の力があります。
火にかけた瞬間に立ち上るクミンの香ばしさ、炒めたターメリックの黄金色の輝き、
そこにガラムマサラの甘く温かい余韻が重なれば、
まるでインドの台所に差し込む朝の光のような、どこか懐かしい温もりを感じるはず。
コモミックスに含まれるターメリックは、体の内側から整える力を持つスパイス。
抗酸化作用や免疫力のサポートにも役立ち、
クミンやコリアンダーは消化を促し、
食後の重さを感じにくくしてくれると言われています。
つまりこのスープは、ただ“おいしい”だけでなく、
体が自然に喜ぶ「スパイスの知恵」が詰まった、やさしい薬膳のような存在です。

作り方はとてもシンプル。
特別なテクニックも、特別な調味料も必要ありません。
野菜を切って、炒めて、煮込む——ただそれだけで、
スパイスがゆっくりと油に溶け、香りが部屋いっぱいに広がります。
キッチンに漂うスパイスの香りは、まるで一種のアロマ。
調理している最中から、すでに癒しが始まっているような感覚に包まれます。
煮込みながら、「今日はどんな香りになるだろう」と期待する時間さえ楽しい。
そして、スープが出来上がる頃。
湯気とともに立ち上るガラムマサラの甘くスモーキーな香りが、
部屋の空気をやさしく満たします。
寒い夜、両手で器を包み込みながらひと口すすれば、
喉を通るたびにじんわりと体が温まり、
外の冷たい空気とはまるで別世界のような安らぎを感じることでしょう。
カレー風味野菜スープは、
「スパイス料理を始めたいけれど難しそう」と思う方にもぴったり。
コモミックスとガラムマサラ、この2種類さえあれば、
自宅で本格的な香りと奥行きを持つスープが作れます。
スパイスを通じて、自分の好みや体調に合わせて味を調整する。
そんな“自分のための料理”を見つめ直す時間にもなるはずです。

🌿 こんなときにおすすめ
●寒い夜に、体を芯から温めたいとき
●仕事終わりにリラックスしたいとき
●スパイスの香りで気分をリフレッシュしたい朝
●体にやさしい一皿を求める日
お家で作るスープが、ただの料理ではなく、
「今日も頑張った自分をいたわる時間」になる。
そんな、心まで温まる一杯です。